早崎法律事務所

弁護士・法律相談

交通事故の損害賠償(その種類と後遺症について)【弁護士・法律相談】

交通事故によって負傷したり、後遺症が残ったりしたとき、
加害者に対して損害賠償を請求できます。

賠償額の算出には、一定の基準があり、
個別の事情を考慮してその損害額を算出していきます。

ここでは、交通事故によるケガの治療、
後遺症が残ったときの損害賠償について説明します。

被害者が損害賠償請求できるもの

被害者が加害者に請求できるものには、次のようなものがあります。

① 積極損害 (治療費、通院交通費など)

② 消極傷害 (休業損害、逸失利益など)

③ 慰謝料 (精神的苦痛に対する賠償)

④ 弁護士費用 (裁判で損害額として認められた賠償額の1割程度)


積極損害

積極損害は、以下のようなものがあります。

治療費

通院交通費

葬儀関係費

入院雑費(入院中に使用した洗面具、日用雑貨、電話代など)

義肢

将来の治療費

子どもが入院し学習が遅れたことにより
家庭教師を雇ったときの費用


小さい子どもがいる母親が入院し
子どもを保育施設に預けた場合の施設利用料


など

実際に支出したものについて、
必要かつ相当な範囲の費用に限定して算出されます。

社会通念上相当な範囲であれば、
医師への謝礼も認められています。

以上が損害賠償の対象になります。


反対に、過剰診療や、
必要以上に丁寧な治療を受ける丁寧診療、
通院中に飲んだ栄養ドリンクなどは
積極損害として認められません。


消極損害

消極損害は、
事故に遭わなければ被害者が
得られたであろう経済的利益のことをいい、
死亡と傷害で消極傷害の算出方法に違いがあります。

被害者が不幸にも死亡した場合は、
事故によって得られなくなった、
その後得られたであろう収入の推計を請求でき、

事故で負傷した場合は、
入院・通院のために働けなかった分の損害(休業損害)と、

後遺症が残ったときは、
後遺症が残ってしまったために
減少した収入の推計(逸失利益)を請求できます。

なお、休業損害の算出方法は、サラリーマンや主婦、
自営業など職種によって異なります。

例えばサラリーマンなどの給与所得者の場合、
事故前の給与額を基礎に算出します。

事故発生前の直近3ヶ月間の収入を合計し、そ
の合計を90で割ります。
これで1日あたりの収入額がわかります。

その金額と事故により休業した日数を乗じて休業損害を算出します。

なお、有給休暇を利用して 入院・通院した場合、
収入が減少していなくても休業損害として認められています。


後遺症について

後遺症とは、交通事故で負傷した後、
傷が治癒しても障害が残ることをいいます。

代表的なものとしてむち打ち症があります。

他にも失明、手指足の切断など、
治療によって完治する傷害とは異なり、
その後の人生設計・社会生活に
大きな支障をきたす場合、
事故の後遺症として認められ、
損害賠償請求の対象になります。

後遺障害等級の認定

後遺障害等級は、被害者の症状に応じて
第1~14級に分けられています。

認定の手続きは、医師の診断を受け、
「後遺障害診断書」を作成してもらいます。

その後、加害者の保険会社を通じて、
若しくは自ら、損害保険料率算出機構の
調査事務所に提出し、傷害の認定を受けます。

後遺障害の保険料は、第1級で最大4000万円、
第14級で75万円と、等級によって保険金額は異なります。

後遺障害等級が決まったら、
労働喪失率が算出されます。

喪失率は第1級で100%、第14級で5パーセントと、
等級によって一定の目安がありますが、
実際には各自の職業や年齢に応じて決められます。

例えば、後遺症があっても、減収がなかった場合は、
特段の事情がない限りは逸失利益として認められていませんが、
慰謝料が増額される可能性はあります。

後遺症が残ったときの慰謝料の算出方法

例えば、第9級程度の後遺障害が残ったとして、
労働能力が35%喪失した結果、
逸失利益が300万だったとします。

これに9級の慰謝料245万円を加算した
545万円が自賠責保険から慰謝料として支払われます。

しかし、逸失利益が500万円だった場合、
9級の慰謝料245万円を加算すると
合計745万円となりますが、
自賠責保険の支払限度額は616万円です。

すなわち、自賠責保険からは
616万円までしか支払いを受けられないため、
745万円との差額である129万円は
加害者の任意保険から支払われることになります。

加害者が任意保険に加入していなければ、
129万円は自費で支払われます。

後遺症がない場合

後遺症が残らなくても、治療費などの積極損害、
休業により現実に喪失した収入である消極傷害、
慰謝料などの請求はできます。

ただし、事故から一定期間経過後に
事故の後遺症が出てくることもあるので、
もし後遺症が残る可能性があるなら、
後遺障害等級の認定が出るまで、
示談交渉には入らないようにしましょう。

このように、人身事故により受けた損害は、
治療によって完治する傷害と治療を続けても
症状の改善が望めない後遺症の2種類に分けられます。

自賠責保険の保険金算定額においても、
傷害と後遺障害を分けて考えているので、
損害賠償請求をする場合は両者を区別して算定しましょう。

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