早崎法律事務所

成年後見制度とは 【財産管理と身上監護】

「成年後見制度」は、精神上の障害(知的障害、
精神障害、認知症など)で判断能力が十分でない人が
悪質な訪問販売などで不利益を被らないように、
家庭裁判所に申し立てをして、
その人を援助してくれる人(成年後見人)を
付けてもらうことです。

成年後見人には、財産管理と身上監護という
二つの大きな仕事があります。

また、1年に1回、財産の用途などの記録を、
裁判所に提出する義務があります。

この制度は、一人暮らしの高齢者が、
高額な商品を売りつけられるなどの詐欺などに
合わないために有効だといわれています。

また「成年後見制度」は、
判断能力が十分でない人の保護を図りつつ、
日常の買い物など日常生活を送るうえで
必要な範囲の行為は、
本人が自由にすることを認めています。

高齢者の増加などが理由で、
近年、この「成年後見制度」の申し立ては
急速に増加しています。

平成27年12月末時点の利用者数は、
19万人を超えています。

こうした増加に対応して、
「成年後見登記制度」が整備されました。

以前は戸籍に記載されていましたが、
プライバシーの保護などの観点から、
成年後見制度の内容や、
成年後見人の権限などの内容を法務局に登記し、
本人や成年後見人から請求があれば
登記事項証明書が発行され、
その証明書を示すことで安全で
円滑な取引を行うことができるようになりました。

成年後見制度について詳しく説明します。

成年後見制度のメリットとデメリット

メリットとしては、

判断能力が低下した人の
「財産管理と身上監護」をすることができる


登記によって成年後見人等の地位が公的に証明される

成年後見人には契約の取消権があるので、
詐欺にあっても契約を取り消せる


などがあります。

デメリットとしては、
手続きに時間(1か月~3か月)がかかることや、
家族が介護などをしている場合、
高額の出費については成年後見人の許可が必要になり、
煩雑になることなどがあげられます。

成年後見制度の種類と成年後見人

「成年後見制度」は、大きくは「法定後見」と
「任意後見」の二つの制度があります。

「法定後見」は、判断能力が衰えた後でないと
利用できません。

「後見」(ほとんど判断できない人が対象)、
「保佐」(判断能力が著しく不十分な人が対象)、
「補助」(判断能力が不十分な人が対象)があります。

「任意後見」は、判断能力の衰える前から
利用することができます。

「成年後見制度」の申し立ての約8割が「法定後見の後見」で、
「保佐」、「補助」、「任意後見」は少ないのが、現状です。


「成年後見人」には、だれが就くことが多いのでしょうか。

平成17年のころは親族が4割を超え、
次に司法書士や弁護士などの専門職後見人が就いています。

トップの親族の中でも圧倒的に多いのが子どもで、
5割を超え、次に兄弟姉妹やその他親族、配偶者、親が続きます。

やはり、大切な財産を託すなら、
身内でという気持ちが強いのでしょうか。

しかし、平成24年には、
親族以外の第三者に任せる場合が、
過半数を超えました。

利用者数の増加に応じ、トラブルも急増

成年後見制度の利用者が増加するのと比例して、
成年後見人の解任や、財産の使い込みなどの
不正事件が急増しています。

この親族成年後見人が
トラブルのもとになるケースが多いようです。

成年後見人には、
財産管理と身上監護の二つの仕事がありますが、
親族の場合、財産管理に関わるトラブルが多いようです。

一番多いのが財産の使い込みです。

最初はしっかり管理していても、次第に管理がずさんになり、
自分の財産のように使ってしますケースが多いようです。

とくに、子どもが成年後見人になっている場合は、
親の財産が「人の財産」であるという意識が薄く、
使い込みにつながってしますことがあるようです。

そのためか、近年は成年後見人を
親族以外の第三者に任せる場合が増えてきました。

最近、この成年後見制度に関して、
弁護士・司法書士などの専門職後見人のトラブルが、
ニュースなどでも取り上げられました。

やはり財産管理に関するトラブルが多いですが、
身上監護に関するものや、
専門職後見人の報酬に関する、
親族からの不満が多く寄せられています。

高齢化社会を迎え、認知症などを抱えた人も
安心して暮らすことのできる社会を目指すという、
高い理想で発足した成年後見制度ですが、
いろいろな問題点が浮かび上がっています。

注目される「後見制度支援信託」

そんな中で、最近注目を集めているのが
「後見制度支援信託」。

これは、財産を金融機関に「信託」という形で預け、
家庭裁判所が作成する指示書に基づき、
月々の生活費などを、必要に応じて定期的に
一定額を成年後見人が管理する預貯金口座に
振り込むという制度です。

成年後見人が管理する預貯金口座にあるお金以外は、
信託銀行が管理することで、財産を守ることができます。

このように、財産を金融機関に信託すれば、
親族が成年後見人でも、
不要なトラブルは防げるかもしれません。

老後の安心した生活を送るためには、
こうした「成年後見制度」や「家族信託」など、
相続や財産管理について、
司法書士、弁護士、社会福祉士、
社会福祉協議会などの専門家に
相談をしてみることが大切です。

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