早崎法律事務所

よくある遺産相続トラブル ~遺言書に関すること~

よくある遺産相続トラブル ~遺言書に関すること~

「遺言書は遺産トラブルになりやすい!?」


自分の死後、残った財産をどう分けてほしいかを
あらかじめ指示しておける遺言書は、
遺産問題を円満に解決するためのアイテムになりますが、
同時に、遺産トラブルを引き起こすアイテムにもなります。

こちらでは、弁護士事務所に依頼される遺言書に
関するトラブルのなかで、よくある事案と、
その解決策をいくつかご紹介します。

「よくあるトラブル① 遺言書の内容が曖昧」


親が亡くなったAさんが遺言書を見てみると、
「親が所有していたマンションはAさんに譲る」
という内容でした。

ところが、Aさんの親はマンションの部屋を
2つ所有しており、この遺言書にある“マンション”は
どちらの部屋のことなのか、
または両方を指すのかがわかりませんでした。

不動産の登記を管轄する法務局に問い合わせると、
「不動産の表記が曖昧で特定できる情報がないため、
遺言書に従ってマンションの名義をAさんに変えることはできない」と言われてしまいます。

こうなると、遺言書に効力がないため、
法定相続人全員と遺産分割協議を行って名義変更を
せざるを得ずないのです。

遺言書がしっかりしたものであれば避けられたことを、
一からやらなければならなくなったというわけです。

解決策

遺言書に不動産の相続を記載する際は、
その不動産が特定できるよう、
不動産の全部事項証明書(登記簿謄本)の通りに
所在、地番、地目、地積、家屋番号などを
明記しておくようにしましょう。

弁護士などの専門家にアドバイスを受けて
遺言書を作成することで、内容に問題がないか、
法的に認められた内容であるかをきちんと判断してもらえます。


「よくあるトラブル② 遺留分を無視した遺言書」


2人の子供を持つ親が、
トラブルが絶えなかった兄を無視し、
「弟に全ての財産を譲る」という遺言書を作成しました。

これは遺言書の内容としては有効ではありますが、
相続財産をまったくもらえないことを知った兄は
「遺留分はもらう権利があるはず!」と
弟に対して裁判を起こし、
法廷で兄弟が争うことになってしまいました。

解決策

法律では、相続人に対して最低限確保される
遺留分という相続財産の割合があります。
この遺留分を巡るトラブルは非常に多く、
これを避けるためには予め遺留分のある相続人に対し
配慮した内容の遺言書を作成する必要があります。

どうしても相続させたくない場合は、
相続人の廃除手続きを行うなどして、
遺留分が発生しないようにするような対策をしましょう。

こちらもあらかじめ弁護士などのプロに依頼していれば防げたトラブルです。


「よくあるトラブル③ 認知症の親に書かせた遺言書」

生前認知症を患っていた親が残したという
遺言書の内容が、明らかに偏った配分となっていました。

不利な内容の子供は
「親は認知症だった、親の意志を無視して
無理やり書かせたに違いない」と言い、
有利な内容の子供は
「これは認知症になる前に書かれた正当な遺言書だ」と
お互い譲らず、法廷で争うことになってしまいました。

解決策

遺言書自体は1人で秘密に作成することもできるため、
その内容が確実に本人の意志なのかどうかを
証明することは難しいものです。
認知症の場合、いつから症状が出ていたのかという
確実な記録を残しにくいので、
遺言書を作成した時点で認知症だったのかどうかを
調べるのも難しくなります。
そのため、遺言書を作成する場合は公正証書遺言など、
当事者以外の第三者立会のもと作成することが望ましいです。

本人の意思能力に問題があるとみなされた場合は、
作成時に医師の診断書や立会を求めることもできるので、
遺言書の正当性を証明することができます。


「よくあるトラブル④ 複数の遺言書がでてきた」

親の死後、遺言書が複数でてきてしまいました。
最初の遺言書には「親の持つマンションを長男に譲る」と書いてありますが、
次に出てきた1年後の日付の遺言書には
「親の持つマンションを長女に譲る」と書いてあります。
お互いに「マンションは自分のものだ」と譲らず、
諍いとなってしまいました。

解決策

遺言書が複数でてきた場合、それぞれの内容に
矛盾がないときはそれぞれの内容が有効とみなされます。
たとえば、ひとつに預貯金に関する内容、
もうひとつに不動産に関する内容だったときは、
それぞれの遺言書が有効となります。

上記のように、同じ不動産をそれぞれ違う人に
相続させるという矛盾した内容になっている場合は、
後の日付のものを有効とします。
つまり長女に相続させるという内容が有効になります。

出来るだけトラブルの種を残さないよう、
遺言書を作成したら、
前の遺言書はしっかりと破棄する、
遺言書を作成したら都度弁護士に内容の確認を
依頼するなどした方が安全です。


「よくあるトラブル⑤ 法定相続人以外に残した遺言書」

父親が死んだあと、母に隠していた父の愛人が
「自分に財産を全部くれるという遺言書がある」と
名乗り出てきました。
実際に愛人は父親の直筆の公正証書遺言を持っており、
内容も愛人に非常に有利なものでした。
母親と子供は大変憤慨しますが、
愛人は自分に全ての権利があると言い、
いますぐ財産を渡して残された家から出ていけと
詰め寄り、母と子供は困り果ててしまいました。

解決策

確かに愛人が持っていた公正証書遺言は
確実な遺言書ではありますが、
母と子供は法定相続人として遺留分を
争うことができます。

遺留分を主張できる有効期限である1年以内に
愛人に対して配達証明付内容証明郵便などの
記録の残る方法で遺留分を主張しなければいけません。

不倫関係にあった愛人に残した遺言書に関しては、
公序良俗に反しており無効とされる可能性もありますが、
それも法廷で争って無効を勝ち取る必要があります。

残された家族にしたらいい迷惑でしかありません。
家族は早めに弁護士に依頼して、
解決を目指すようにしましょう。

もし遺言書を作成するときに、
法定相続人以外にもどうしても残してあげたい場合は、
家族に最大限配慮した内容にすることを忘れないでください。

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